2026年9月16日
納棺師に向いている人の特徴|仕事内容と1日の流れ・未経験から目指せるか

納棺師は、ご遺体を清め、旅立ちの身支度を整え、棺に納めるまでを担う仕事です。葬儀業界の中でも、ご遺体に直接向き合う専門職の代表格といえます。
私たちが運営する「おくりびとアカデミー」は、映画『おくりびと』で技術指導を担当した方の知見を継承した、日本初の納棺師育成機関です。この記事でも、そこで見えてきたことを交えて紹介します。
この記事で分かること
- 納棺師の主な仕事内容
- 1日の流れと勤務時間・休日の実情
- 向いている方の特徴
- 未経験からでも目指せるのか
納棺師の主な仕事内容
納棺師の仕事は、湯灌(ゆかん)・死化粧・納棺を中心に、ご遺体の状態を保つための処置なども含まれます。
亡くなった直後から進む変化に対応するため、ドライアイスを使うなどしてご遺体の状態を保つ処置を行うことがあります。そのうえで、湯灌としてご遺体を入浴のような形で清めます。清潔にすることに加えて、死後硬直をやわらげる意味合いもあります。
死化粧は、髪や爪の処理、ひげ剃り、メイクなどを通じて、ご遺族が最後にお別れできる状態に整える工程です。病気などで衰弱したお姿を、ご遺族の記憶によりそう形に近づける役割があります。
そのうえで、旅立ちの装いに着替えていただき、棺にお納めします。副葬品や思い出の品を一緒に納めることもあります。地域や宗派によって、ご遺族が納棺に立ち会ったり、独自の儀式が加わったりすることもあるようです。
なお、「湯灌師」という呼び方を耳にすることがありますが、これは納棺師の別称であり、同じ担当者が両方の業務を行うのが一般的です。別の職種として分かれているわけではありません。

1日の流れと勤務時間・休日の実情
納棺の現場では、2〜3人のチームで作業にあたることが多く、経験の浅い方とベテランが組むように編成されることが一般的なようです。移動には社用車を使うことが多く、普通免許が必須となる会社もあります。
前日のうちに、翌日担当する現場やご遺族の要望をある程度確認しておくことが多いです。当日は、社用車でチームとともに現場へ向かうところから始まります。
現場に着いたら、まずご遺族へのあいさつと要望を伺うことから始め、そのうえで湯灌・死化粧・着替えという一連の作業に入ります。ひとつの現場でこの流れをひととおり終えるまでには、1時間半から2時間ほどかかることが多いです。
作業を終えたらご遺族に声をかけて次の現場へ移動し、これを1日のうちに何度か繰り返します。1日の終わりには、その日の作業を振り返り、翌日の準備を整えてから退勤する、という流れが一般的なようです。
勤務時間は9時〜17時が基本とされていますが、その日の件数や移動距離によって前後することも多いです。休日はシフト制で、葬儀社は24時間対応が基本のため、不定休になりやすく、繁忙期には連勤が続くこともあるとされています。
この流れの中心にある湯灌・死化粧・着替えという工程は、おくりびとアカデミーの授業でも「お着せ替え」として実技の中心に置かれている内容です。現場に出る前に、この一連の流れを繰り返し練習しておけることは、未経験から入る方にとって支えになっているようです。
向いている方の特徴
納棺師に向いている方の特徴としては、次のようなものが挙げられます。
- 同じ現場が一つとしてないため、常に学び続ける姿勢がある
- 悲しみの現場でも精神状態を一定に保てる
- ご遺体の状態にかかわらず、落ち着いて向き合える
- ご遺族の悲しみに寄り添うコミュニケーションができる
ただ、これらはあくまで傾向であり、当てはまらないからといって向いていないというわけではありません。

私たちが運営する「おくりびとアカデミー」の教育現場からも、向いているかどうかを考えるヒントになりそうな声がいくつかあります。技術の習得は体力的にも精神的にもハードだという声がある一方で、「毎日笑顔が絶えない」という声も多く、大変さとやりがいの両方が語られています。人にも故人にも優しく接することができることや、所作・言葉遣い・思いやりを重んじる姿勢も、向いているかどうかを考えるときの目安になっているようです。
「普通のご葬儀というものはない。ご遺族によって一つひとつ違う」。これは、おくりびとアカデミーの授業で、講師が伝えている言葉です。同じ現場が一つもないからこそ、学び続ける姿勢が欠かせないのだと思います。
未経験からでも目指せるのか
納棺師の仕事に、必須の資格はありません。ただし、技術と作法の両方が求められる仕事であるため、現場での叩き上げで学ぶのが業界の通例とされてきました。
私たちが運営する「おくりびとアカデミー」は、人生の終焉に携わる一度きりの場だからこそ、体系的に学べる場が必要だという考えのもとに創立された教育機関です。授業は、お着せ替えなどの実技だけでなく、宗教学・葬祭知識の座学や、マナー講師による所作・言葉遣いの指導も含めて構成されています。座学は暗記科目としてではなく、講師自身の現場経験や生徒の体験を交えながら進むため、納得感を持って学べるという声も聞かれます。
介護職、歯科技工士、看護師、美容師など、まったく違う仕事を経験してきた方が数多く入学しており、年齢も10代から50代以上まで幅広い方が学んでいます。講師陣も、家業として技術を受け継いだ方や、この教育機関の卒業生が講師として教える側に回っているケースもあり、技術と考え方の両方が現場に受け継がれていく仕組みができています。
未経験からこの仕事を目指す場合、こうした教育機関やスクールを経てから現場に入る、という道を選ぶ方も少なくないようです。
まとめ
納棺師は、湯灌・死化粧・納棺という一連の工程を通じて、ご遺族が故人と最後の時間を過ごせるよう支える仕事です。体力面・精神面での負担がある一方で、学び続ける姿勢や、ご遺族への思いやりを大切にできる方にとっては、やりがいの大きい仕事だといえそうです。
ご遺族との対話を通じて式全体をつくる葬祭プランナーとの違いについては葬祭プランナーの仕事内容|納棺師との違いを徹底比較でも詳しく解説しています。
よくある質問
未経験でも納棺師になれますか?
必須の資格はなく、未経験から目指す方も多くいます。ただし技術と作法の両方が求められる仕事のため、教育機関やスクールで学んでから現場に入る道を選ぶ方も少なくないようです。
納棺師と湯灌師は違う仕事ですか?
湯灌師は納棺師の別称で、同じ担当者が両方の業務を行うのが一般的です。別の職種として分かれているわけではありません。
体力に自信がなくても働けますか?
ご遺体の搬送など体力を使う場面はありますが、チームで分担する会社もあります。実際の負担の程度は会社によって差があるため、面接で確認することをおすすめします。
