2026年9月28日
葬儀業界に関わる資格11選|資格の種類と選び方

葬儀業界の仕事の多くは、資格がなくても働けます。それでも専門性を示す手段として、業界にはさまざまな資格があります。試験に合格する必要があるものもあれば、講座を受講するだけで取得できるものもあり、実務経験が前提のものもあれば、誰でも申し込めるものもあります。この記事では、葬儀業界に関連する11の資格を、運営団体・受験資格・試験内容・受験料・活用例まで比較します。
資格の前に知っておきたいこと
葬儀業界の仕事の多くには、国家資格が存在しません。この記事で紹介する資格も、そのほとんどが各団体が独自に運営する民間資格です。
国家資格が整備されていない分、資格の性質そのものが資格ごとにバラバラなのもこの業界の特徴です。実務経験者向けの審査もあれば、業界外の一般の方に向けた検定もあり、講座を受ければ取得できるものと、独立した試験に合格しなければならないものが混在しています。取得後の活用のされ方も、資格によって大きく異なります。
そのため「資格を取れば有利になる」と単純に言い切れるものではなく、資格ごとに何を証明していて、誰を対象にしているのかを見極めることが大切になります。
葬儀業界に関わる資格11選
葬送儀礼マナー検定(2級)
葬送儀礼マナー検定は、業界での実務経験や特定の職業を問わず、どなたでも受検できる資格です。
- 運営団体:一般社団法人葬送儀礼マナー普及協会
- 受験資格:年齢・学歴の制限なし。誰でも受検可能
- 試験内容・形式:葬儀マナーの基本、弔事の服装、お参りの作法、香典・ふくさ・弔電弔辞、供花供物、法要参列、お盆・お彼岸、お墓参りなどから出題。WEB受検(選択式マークシート、50問60分)で、正答率70%以上が合格ラインです。合格するまで何度でも再受検できます
- 受験料:初回9,900円、再受検3,300円
- 実施時期:随時受検可能(受検IDの発行から90日以内)
- 活用例:資格に有効期限はなく、合格をアピールする材料になります。就職や独立に直接結びつく資格というより、教養・マナーの証明という位置づけです
業界の実務経験を問わず受検できる、間口の広い資格です。
葬祭ディレクター技能審査
葬祭ディレクター技能審査は、厚生労働省から技能審査として認定を受けている資格です。1級・2級に分かれています。
- 運営団体:葬祭ディレクター技能審査協会(1995年設立、1996年3月に労働省=現厚生労働省から認定)
- 受験資格:1級は葬祭実務経験5年以上(または2級合格後2年以上)、2級は葬祭実務経験2年以上。協会認定の教育機関のカリキュラムを修了(見込み含む)していれば、その期間を実務経験に算入できます
- 試験内容・形式:学科試験(1級100問50分、2級50問30分。歴史・社会動向・公衆衛生・法制・宗教などの知識と一般常識)と、実技試験(幕張・接遇・司会の3種目)。学科はCBT方式(全国約200のテストセンター)、実技は各地の会場で実施します。合格基準は学科70%以上、実技は合計70%以上かつ各科目30%以上です
- 受験料:1級60,000円(学科15,000円・実技45,000円)、2級45,000円(学科15,000円・実技30,000円)
- 実施時期:年1回。学科(CBT)は10月、実技は11月に全国8会場(札幌・仙台・大宮・東京・横浜・名古屋・京都・福岡)で実施されます
- 活用例:合格者は「1級葬祭ディレクター」「2級葬祭ディレクター」と名乗ることができ、協会発行のIDカードを着用して業務にあたれます
実務経験が前提の資格なので、未経験からいきなり受けられるものではありません。すでに葬祭業に2年以上(1級は5年以上)従事している方向けの資格です。
お墓ディレクター
お墓ディレクターは、石材や宗教宗派、供養・埋葬の歴史文化、関連法令など、お墓に関する幅広い知識を証明する資格です。
- 運営団体:一般社団法人日本石材産業協会
- 受験資格:2級は、墓石の小売・加工・施工・クリーニング・採石など、お墓関連業に携わる方が対象です(実務経験年数は問われません)。1級は2級取得者であれば受験できます
- 試験内容・形式:公式テキスト(全578頁)から出題されます。1級は正誤判定30問+多肢選択20問(マークシート)に加えて記述式1〜5題(各100〜200字程度)、2級は正誤判定50問+多肢選択50問です。2級はオンライン試験(Webカメラ必須)、1級は会場での試験です。合格基準は1級・2級とも100点満点中70点です
- 受験料:一般30,800円、協会員18,700円(1級・2級とも同額)
- 実施時期:年1回、例年11月。資格の有効期間は5年で、更新が必要です
- 活用例:名刺やホームページに「日本石材産業協会認定」と等級を記載できます
- 取得者数:2026年6月時点で1級660人、2級3,283人(協会の発表)
過去問題と解答も公開されており、受験前に出題傾向を確認できます。石材店や墓石の施工・クリーニング業、霊園管理など、お墓に関わる仕事にすでに携わっている方向けの資格です。
仏事コーディネーター
仏事コーディネーターは、仏教や仏壇仏具、法事など「仏事」全般の知識を持っていることを証明する資格です。核家族化によって失われつつある仏事の知識を普及することを目的に、2004年に始まりました。
- 運営団体:仏事コーディネーター資格審査協会(全日本宗教用具協同組合が後援)
- 受験資格:宗教用具を扱う事業所の経営者・従業者、全日本宗教用具協同組合の組合員とその従業者(パート・アルバイト・非常勤も含む)
- 試験内容・形式:仏教の基礎知識、仏事(慶弔)に関する知識、仏壇仏具の製品知識と販売知識、関連法令の5項目から出題されます。○×式と選択式の併用です
- 受験料:講習料・受験手数料あわせて35,000円(テキスト代は別途)
- 実施時期:年1回、11月に実施
- 活用例:資格の有効期間は5年で、更新には全日本宗教用具協同組合の組合員であることが必要です
受験資格自体が宗教用具業界の関係者に限られているため、業界外から新たに目指せる資格ではありません。
遺体衛生保全士(エンバーマー資格)
エンバーマーは、ご遺体の防腐・修復処置(エンバーミング)を行う専門職で、遺体衛生保全士はその資格にあたります。ただし他の資格と違い、単発の試験ではなく、IFSA認定の2年制養成校・日本ヒューマンセレモニー専門学校のエンバーミング学科への入学が前提になっている点が特徴です。
- 運営団体:一般社団法人日本遺体衛生保全協会(IFSA)
- 受験資格:養成校の入学資格として、高校卒業(見込み含む)またはこれに準ずる方などが定められています
- 試験内容・形式:養成校の入学試験は一般常識・作文・面接です。卒業すると受験資格が得られ、別途IFSAの資格認定試験に合格することで正式に認定エンバーマーになります
- 受験料:養成校の入学検定料3万円のほか、学費は1年次151万円、2年次126万円(2年間合計約277万円)
- 実施時期:養成校は毎年4月開校。資格試験は年1回、3月に実施されます
- 活用例:IFSA加盟企業のエンバーミングセンターに就職する場合に必要な資格です。ただし、卒業がそのまま就職を保証するものではありません
資格というより、進学して技術を身につけるルートに近い位置づけです。エンバーミングに関心がある方は、まず養成校への進学を検討することになります。
グリーフケアアドバイザー
グリーフケアアドバイザーは、大切な人を亡くした際の深い悲しみ(グリーフ)に寄り添うケアの知識・実践力を認定する資格です。2級・1級・特級の3段階があります。
- 運営団体:一般社団法人日本グリーフケア協会
- 受験資格:2級は18歳以上であれば受講・受験できます。1級は2級修了者、特級は1級修了者かつ日本グリーフケア協会の推薦が必要です
- 試験内容・形式:2級はグリーフケアの基礎知識を座学で学びます。1級は複雑な悲嘆への対応を、講義やゲスト講師の講話、グループワークを通じて学びます。特級はより実践的なケアの技能を深めます。いずれも独立した筆記・実技試験ではなく、講座を受講することで修了認定を受ける仕組みです
- 受験料:級ごとの受講料は、協会の講座案内・申込ページで確認できます
- 実施時期:年2回(春・夏)、東京都内のみで開催されます
- 活用例:協会から仕事の紹介は行っていません。これまでの受講者は保健・医療・福祉・宗教・教育・サービス業など幅広い分野にわたります
試験に合格するというより、講座を受ければ取得できる認定講座型の資格です。特級だけは協会の推薦が必要な点が、他の2段階とは異なります。
終活アドバイザー
終活アドバイザーは、終活に関する基礎知識を身につけ、エンディングノートの書き方などを案内できることを証明する資格です。他の終活系資格と違い、通信講座を修了することがそのまま認定試験の合格を意味する仕組みになっています。
- 運営団体:特定非営利活動法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)。株式会社ユーキャンを指定教育機関として、講座提供と試験実施を委託しています
- 受験資格:年齢・性別・学歴・経験は問われません(ユーキャンの案内による)
- 試験内容・形式:終活の基礎知識、社会保障制度、財産管理・相続対策、葬式・供養・お墓について出題されます。ユーキャンの通信講座の最終添削課題(第4回)がそのまま認定試験を兼ねる仕組みで、マークシート形式の在宅受検です。合格基準は得点の60%以上
- 受験料:ユーキャンの講座費用(一括39,000円、または分割月々3,300円×12回)に含まれています。独立した受験料の設定はありません
- 実施時期:固定の試験日はなく、講座受講中に随時提出できます
- 活用例:協会に登録すると、エンディングノート講座の開催や個別相談、専門家への橋渡し、市区町村窓口への同行支援などの活動ができます。登録は任意で、入会金4,000円・年会費6,000円が必要です(初年度合計10,000円)。合格から3年以内に登録するのが原則です
終活カウンセラーと名前が似ていますが、運営団体も試験の仕組みもまったく別の資格です。認定試験を単独で受けることはできず、ユーキャンの講座を通じてのみ取得できる点が特徴です。
終活ライフケアプランナー
終活ライフケアプランナーは、保険・金融・不動産・葬儀・医療・福祉など、終活に関わる幅広い分野の知識と、相談者へ助言するスキルを認定する資格です。
- 運営団体:一般財団法人日本能力開発推進協会(JADP)
- 受験資格:JADPが指定する認定教育機関の講座で、全カリキュラムを修了していること
- 試験内容・形式:終活に関する基礎知識、終末期ケアと死生観に関する基礎知識の2分野から出題されます。カリキュラム修了後、マークシート形式の答案を郵送する在宅受検方式です。合格基準は得点率70%以上
- 受験料:5,600円(税込)
- 実施時期:固定日程はなく、カリキュラム修了後に随時受検できます。採点結果は答案受付から約1ヶ月後に届きます
- 活用例:保険・金融・不動産・葬儀関連・医療・福祉など、人生のエンディングに関わる幅広い職種の方に向く資格です
指定の教育機関の講座を修了することが前提になっている点は終活アドバイザーと似ていますが、こちらは在宅受検の答案を協会側で採点する独立した試験という位置づけです。
終活ガイド(1級)
終活ガイドは、終活の背景や健康医療、介護、認知症、身元保証、年金、保険、相続、遺言、葬儀、お墓、終活整理など12項目を体系的に学び、終活の相談やセミナー講師としても対応できる人材を認定する資格です。3級・2級・1級の3段階があります。
- 運営団体:一般社団法人終活協議会
- 受験資格:制限はなく、3級・2級を経ずに1級から挑戦する方も多くいます
- 試験内容・形式:通信講座とセットのWebテスト形式です。テキストを見ながら回答でき、時間制限はありません。50問中40問正解で合格です
- 受験料:50,000円(税込、講座費用込み)
- 実施時期:固定の試験日はなく、教材到着後いつでも受検できます。不合格でも追加費用なしで何度でも再受検できます
- 活用例:合格すると検定の実施権や資料の利用権が付与され、セミナー講師や街の終活相談窓口、エンディングノート講師として活動できます
終活カウンセラー
終活カウンセラーは、介護や保険、年金、相続、葬儀、お墓など、終活に関する基礎知識を身につける資格です。2級・1級の2段階があります。
- 運営団体:一般社団法人終活カウンセラー協会
- 受験資格:2級は誰でも受講・受験できます。1級は2級検定を受講し、会員登録済みであることが条件です
- 試験内容・形式:2級は終活の必要性、介護保険制度、保険の見直し、年金制度、相続・遺言・相続税、お葬式とお墓の種類・費用などを学びます。1級は、より実践的な相談スキルを学びます。2級はWEB検定(動画5本・約2時間)または会場・Zoom検定、1級はオンラインでの1日講座とWEB試験です
- 受験料:2級16,000円(学生・75歳以上は10,500円)、1級55,000円(不合格でも返金なし)
- 実施時期:2級は通年受付、1級は年1回程度の指定日開催です
- 活用例:介護・医療現場での利用者相談、保険・金融でのコンサルティング、葬祭・供養業での事前相談対応、士業やファイナンシャルプランナーの相談窓口など、幅広く活用されています
業界未経験でも受けられる資格で、終活に関する相談業務をしたい方や、士業・保険・介護・葬祭など隣接する業種で働く方に向いています。
納棺士認定試験
納棺士認定試験は、遺体の処置や納棺の所作、宗教儀礼(仏式・神式)、衣装、メイクなどを学び、一定水準以上の技量を持つ納棺士であることを証明する資格です。
- 運営団体:一般社団法人日本納棺士技能協会(JNO)
- 受験資格:おくりびとアカデミーの納棺士™コース(6ヶ月)のカリキュラムを修了することが前提です
- 試験内容・形式:おくりびとアカデミーの納棺士™コース(6ヶ月)を修了する過程で、座学・実技の試験が行われます
- 受験料:おくりびとアカデミーのコースを経由する場合は学費132万円に含まれる形です
- 実施時期:おくりびとアカデミーのコースは年1回、4月から9月にかけて開講されます
- 活用例:修了者は「おくりびとアカデミーで認定を受けた納棺士」と名乗ることができます
この葬祭キャリアサポートを運営しているのが、おくりびとアカデミーです。半年間集中して納棺師の基礎を身につけたい方に向いている資格で、単発の試験ではなく進学に近い位置づけです。
資格選びで見ておきたいポイント
- 試験に合格する形式か、講座を受講すれば取得できる形式か
- 受験資格が実務経験前提かどうか(業界未経験でも受けられるか)
- 受験料の総額と、更新の要否・更新料
- 活用例が具体的に示されているか(就職・独立に直結するのか、教養としての位置づけなのか)
- 運営団体がどのような団体か(業界団体・協会・特定企業とのつながりの有無)
まとめ
実務経験がなければ受けられない資格もあれば、誰でも申し込める資格もあります。試験の合格を目指す資格もあれば、講座を受講するだけで認定される資格もあります。
同じ「葬儀業界の資格」という括りでも、証明する内容も、必要な費用も、取得後の使われ方もここまで違います。資格を取ること自体が目的にならないよう、まずは自分が何を証明したいのか、どんな場面で使いたいのかを考えてから選ぶのがよさそうです。
気になる資格が見つかったら、まずは各団体の公式サイトで最新の受験資格・試験内容・受験料を確認することから始めてみてください。
※本記事の資格情報は、2026年9月時点で独自に調査した内容です。受験資格・試験内容・受験料等は年度により変更される場合があるため、最新の情報は各団体の公式サイトでご確認ください。
